The winning entry has been announced in this pair.There were 4 entries submitted in this pair during the submission phase. The winning entry was determined based on finals round voting by peers.Competition in this pair is now closed. |
(略)翻訳者というものはあまり評価されないものだ。報酬もさほど期待できず、生活費をまかなうだけのギリギリの収入を得ている。実際に翻訳者になるための教育を受けている人はごくわずかだが、ほとんどの翻訳者は大学教育をきちんと受けている。少なくとも自分の母国語の言語に対しては確かな知識を持っている。私にもまさにそんな背景を持つ友人がいた。そして、友人の輪が広がって他の翻訳者たちとも友達になった。私はこれらの友人たちに対して人としての面白みを感じた。また、似たような人生経験を持つ人も多いこともわかった。友達を作ることに苦労したことはなかったが、いつも感じていたことは、自分は人とは「違う」ということだ。友人たちも同じように感じていたに違いない。ある友人が退職した時、彼女は私を後任者として推薦してくれた。こうして、まったく知識のなかった「再保険」の領域に足を踏み入れた。そのうえ、その会社では翻訳者は私1人だけであり、頼れる人はあまりいなかった。ところが、これがさらに経験を積み重ねる機会となった。 この新しい仕事では、手始めにいくつものファイルに目を通したり、質問したりした。そして、会社に頼んで保険講座に参加させてもらった。保険大学は通りの向かいにあり、その図書館で消防法や保険証券について調べたり、消火器の一覧を参照したりした。ここでは、それまで余裕がなくてできなかったことを学んだ。それは、「調査すること」である。原子力発電所の保険を目的とした提案書を私が初めて翻訳した時、その担当部署の部長から電話があり、その仕事の成果を褒めてくれた。「これまでに比べて勝るとも劣らない出来栄えだ」と彼は言った。胸が躍った。実のところ、参考になりそうな書類を見つけるためにファイル内の類似文書を調べていた時、それらのファイルは、自分にとっては役に立たないことがわかった。それは、「core(炉心)」とすべきところを「nucleus(核)」と前任者が訳していたからである。私は通り向かいの図書館に行って、「nuclear plants(原発)」について調べた。必要な専門用語はすぐにすべて見つかった。 今の時代、優れた翻訳者になるには、当然それ以上の多大な労力を要する。(略) | Entry #35789 — Discuss 0 — Variant: Not specified Winner
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[...] 翻訳者という職業は見合う価値を認められていなかったし、食べていければ良い方で、大した収入を稼げるとは誰も思っていなかった。実際に翻訳者としての訓練を受けた者は少なかったが、ほとんどはしっかりとした大学教育を受け、少なくとも確かな母国語を基盤にした言語の知識を持っていた。私にはまさにそのカテゴリーに当てはまる友人が一人おり、やがて友人の輪は他の翻訳者たちへと広がっていった。彼らは人間としてより面白く、似たような人生経験をしていることが多いように思えた。私は友達を作るのに苦労したことはなかったが、自分はなんだか「違う」という感覚を覚えるのが常で、彼らもそう感じていたに違いない。友人が退職したとき、彼女は後任として私を推薦してくれた。そうして私は、何も知らない再保険の分野に足を踏み入れることになった。しかもそこでの翻訳者は私一人、頼みの綱もなかった。しかし、ひとつステップアップになるのは確かだった......。 新しい職場でファイルに目を通し始めた私は、あれこれ質問し、保険に関して学ぶクラスを受講させてくれるよう会社に頼むことに成功した。カレッジ・オブ・. インシュアランス(現セント・ジョーンズ大学)は会社の通り向かいにあり、その図書館で消防規則、保険証券、消火器カタログなどを調べた。過去にそんな余裕はなくてできなかったこと、つまりリサーチを学んだのだ。初めて原子力発電所の保険に関する提案書を翻訳したときには、その部署の責任者から、私の仕事をたたえる電話がかかってきた。「これまでの翻訳よりも優れている」と彼は言ってくれた。これには舞い上がった!舞台裏を明かすと、そのとき取り組んでいたものと同じような過去の書類を見つけて参考にしようとしたのだが、前任者が「炉心」の代わりに「原子核」という単語を使っていたのを見て、それらのファイルが何の役にも立たないことに気づいたのだった。そこで私は通りを渡って大学図書館に行き、「原子力発電所 」を検索して調べたわけである。すぐに必要な専門用語はすべて見つかった。 もちろん今日では、すぐれた翻訳者とされるにはそれ以上の多くのことが必要とされる。[...] | Entry #36092 — Discuss 0 — Variant: Standard-Japan
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[...] 翻訳者というものは、ただただ評価のされない存在で、大した収入を得る期待もせず、生活できればいいというものだった。翻訳者としての訓練を受けた人はごくわずかだが、大多数は大学を卒業し、語学力、少なくとも母国語については精通していた。 私の友人にも、そんな分類にぴったりと収まるような人がおり、友人の輪は他の翻訳者にも広がっていった。実に興味深い人たちで、私たちはしばしば似た境遇を生きてきたことを知った。友人を作るのには不自由しなかった私だが、いつも「違う」という気がしていたし、きっと彼らも同じように感じていたはずである。友人がリタイアしたとき、私を後継者として推薦してくれた。こうして私は右も左も分からない再保険の分野に飛び込んだ。そこでは自分はただ一人の翻訳者であり、頼れるものはあまりなかった。だが、得るものがあったのだった。 新しい仕事では、資料を見たり質問したりということを始めて、会社に保険講座を受けさせてもらった。保険学校は通りを1本挟んだ所で、図書館で私は消防法や保険証券、消火器のカタログなどを参照していた。これまで学ぶことのできなかった贅沢なことを学んでいた。リサーチだ。原子力発電所の保険のために提案書を初めて翻訳したときには、部署の責任者から電話があり、私の仕事を誉めてくれた。「いつもよりも良質です」と言う。なんとも心が躍る体験だった。何があったかというと、依頼の書類に似ている資料を参考にしていたところ、前任者が「炉心」ではなく「核」という用語を使用しているのを見たとき、資料は用をなさないことに気がついた。向かいの図書館に行って「原子力発電所」について調べたら、必要な用語がすぐに揃った。 もちろん、この頃は優秀な翻訳者になるには、それ以外にもたくさんの資質が必要になる。 [...] | Entry #35494 — Discuss 0 — Variant: Standard-Japan
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翻訳者たちは認知されることを求めていたわけではなく、多くの稼ぎを期待していたわけでもなく、ただ何とか生計を立てることを願っていました。翻訳者としての訓練を受けた人たちはほとんどいませんでしたが、多くの人たちは立派に大学教育を受け、少なくとも母国語に堪能であり、複数の言語に堪能な人たちもいました。私の友人の中には、まさにそのカテゴリーにぴったりの人がいて、その友人を含む私のグループは、次々に他の翻訳者も引き入れて、グループの輪を広げていきました。私は、友人たちが個性豊かで興味深い人々であり、また私たちの人生経験もしばしば似ていることに気づきました。私は、友だち作りに困ったことはありませんでしたが、なぜか友人たちとは何かが「違う」といつも感じていましたし、友人らも同じように感じていたと思います。ある友人が引退する際、彼女は私を後任として推薦してくれました。こうして私は再保険の世界に足を踏み入れることになりましたが、その分野については全く何も知りませんでした。私はそこで唯一の翻訳者であり、頼りになる後ろ盾もありませんでした。ところが、それはさらなる飛躍だったのです.... 新しい仕事に着任して、ファイルを調べたり質問をしたりし、会社からは保険のコースを受講させてもらいました。保険のコースは会社の通りの向かいにある保険大学で行われ、その図書館で防火規程、保険ポリシー、消火器のカタログについて調べました。これまでできなかった贅沢なこと、リサーチすることを学びました。初めて、原子力発電所の保険目的の提案を翻訳する必要があった時に、その部門の責任者から電話がかかってきて、私の仕事に対してお褒めの言葉をいただきました。「これまでのものと比べてみると優れています」と上司は言いました。私は「うれしい!」と思いました。実際のところ、私が取り組んでいるファイルと似たような文書を参照しましたが、前任者が「核」("core") の代わりに「原子核」(nucleus)を使っていたことに気付いたため、その文書は役に立たないことが分かりました。道路の向こうにある、あの図書館に行って「原子力発電所」という言葉を調べました。すると、すぐに必要な専門用語が見つかりました。 もちろん、今日の優れた翻訳者になるには、これ以上の努力が必要です。[...] | Entry #36179 — Discuss 0 — Variant: Standard-Japan
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